アトピー性皮膚炎を克服するためには

ステロイドやプロトピック軟膏などの免疫抑制剤を塗っている場合は、これらの薬を止めていかないことにはアトピー性皮膚炎の克服は困難です。ですからこれらの免疫抑制剤に精神的にも肉体的にも依存してしまっている人の場合は、栄養療法での治療はうまくいきません。まずはステロイドやプロトピックなどの免疫抑制剤からの決別が必要です。それができない方には栄養療法はむいていません。

依存の大きな原因は痒みです。女性などはやはり顔の赤みを気にされます。きっぱりと免疫抑制剤を止められる方はいいのですが、多くの方は上記の理由でなかなか免疫抑制剤を手放せません。また今まで大量に免疫抑制剤を塗りたくっていた人が急に免疫抑制剤を塗るのを止めると激しくリバウンドしてしまいます。痒みや赤みのために免疫抑制剤を使わざるを得ない人やリバウンドが激しい方には、仕方がないのですがステロイドホルモンの内服に変更してもらい、計画的に減量して最終的に離脱を図ります。ステロイドホルモンは、減量中止をすることを前提に短期間使うと、副作用を最小限に抑えることができますし、副作用も対処可能なものです。

免疫抑制剤からの離脱と平行して行わないといけないのが、栄養アプローチです。まず血液検査で不足栄養素を同定しないといけません。皮膚炎に関係していると思われる栄養欠損があれば、その栄養素を十分量補充する必要があります。この十分量というのがポイントで、少ない量をだらだら摂取しても殆ど治療効果がでません。栄養療法は容量依存性に治療効果を発揮するので、不足の程度に応じた量を補充しなければいけないのです。その量は各人違ってきますので、血液検査を元に判断します。

またステロイド軟膏での治療経験がある方は、副腎機能が低下している場合が多いので、副腎機能のチェックも行ったほうがよいでしょう。副腎機能の低下が認められた場合は、副腎ホルモン産生向上のための栄養アプローチも必要になります。ですから副腎ホルモンの材料であるコレステロール(タン白質)・ビタミンC・ビタミンB5の内服は欠かせません。また副腎強化には高濃度ビタミンC点滴も平行して行うと治癒を早めてくれます。

アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、乾燥し肌がざらざらしています。これはビタミンA不足による皮膚の分化異常(角化)が原因です。角化によって皮脂の分泌がうまくいかなくなり乾燥肌になってしまいます。ビタミンAは副作用があるとお思いの方が多いですが、それは合成のレチノイン酸を過剰に摂取した場合に起こりえるものです。gdmクリニックでは、天然のビタミンAを用いていますので副作用の心配はありません。

アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、バリア機能が低下しており細菌などの感染を合併しています。特にステロイド軟膏を塗っている場合、ステロイドの副作用である皮膚萎縮と易感染性のために高率に皮内感染を合併しており、この感染が皮膚炎を増悪させています。ですから強酸性水などによる皮膚の消毒も重要になります。

アトピー性皮膚炎の方は、皮脂が少なく肌が乾燥しています。皮脂は外界からの異物の侵入を防ぎ水分などの体外喪失を防いでくれます。乾燥は痒みの原因になり、掻き傷から細菌感染が悪化するので、保湿をする必要があります。アミノ酸、ビタミンC、αリポ酸、CoQ10入りの化粧水などでしっかり保湿した後に、乳液などを塗り水分の蒸発を防ぐことも重要です。

皮膚炎の治療において重要なことは、意外に思われるかもしれませんが腸の状態を整えることです。小腸は成人の免疫を担っている臓器ですし、ビタミンB群などを腸内細菌が合成してくれていますので、腸の状態が悪いと皮膚炎や湿疹の原因になります。加熱処理乳酸菌、有胞子乳酸菌、ラクトフェリン、食物繊維、オリゴ糖などを摂取することで、善玉菌が増えアレルギー性の炎症細胞が減少し、皮膚炎や湿疹を改善させることが可能です。

腸粘膜が健全でないと、本来吸収されない異物が体内に取り込まれ、これがアレルゲンになります。ですから腸粘膜の強化もアレルギー治療において非常に重要になってきます。尚、腸粘膜の強化には、タン白質・ビタミンAが欠かせません。よくアレルゲン検査で陽性になった食べ物を制限する医者がいますが、アレルゲン検査で陽性になったからといってその物質が本当にアレルゲンとはかぎりません。タン白質は骨、臓器、血液など身体の必須材料ですので、成長期にタン白質制限すると成長を大きく妨げてしまいます。皮膚も当然タン白質でできていますので、タン白質制限をすると丈夫な皮膚が作れずアトピー性皮膚炎の病態改善にとってもマイナスになります。

プロスタグランディン代謝の改善もアレルギーの治療においては重要です。プロスタグランディンE1(PGE1)やPGE3という生体調節ホルモンは、抗炎症作用を持ちアトピー改善に有効です。γ‐リノレン酸はPGE1に変換され、またα-リノレン酸、EPAはPGE3に変換されますので、これらを摂取することは症状改善に役立ちます。一方、マーガリンや紅花油、大豆脂などの植物油などに含まれるリノール酸は、摂りすぎるとアラキドン酸の生成を促進させてアレルギー症状を増悪させるPGE2やロイコトリエン4に変換されるので要注意です。PGE1の生成促進因子には、亜鉛・ビタミンB6・ビオチン・ビタミンC・ナイアシンなどが必要になりますので、これらの栄養素を補給することもアレルギー性炎症の抑制に役立ちます。

以上より、ステロイドの離脱、皮膚の消毒と保湿、副腎強化、高濃度ビタミンC点滴、皮膚強化、腸管免疫刺激、腸粘膜強化などの総合的なアプローチを行うことでアトピー性皮膚炎の克服は可能です。